ネット上の危険は、ウイットで回避せよ!
ほぼ年に1冊のペースで出版されている「頭の体操」。 2001年バージョンは「永遠の謎 篇」と題され、「インターネット」が全編を貫くテーマとして取り上げられている。「プロローグ」の文中には、こんな例題があった。
「ネットで知り合ったクイズ・マニアの友だちがいるが、あるとき偽者が現れた。2人は同じようにホーム・ページで発言し、あなたにメッセージを送ってくるが、1人はあなたをだまそうとしている。あなたは本物の友だちとも会ったことがないので、顔を見ても声を聞いても本物と偽者の区別はつかない。さて、ごく簡単な質問をして、本物と偽者を見分けることはできないだろうか?」
本書には一応の回答が書かれているが、それはヒントに過ぎない。要は、ありきたりの質問をしても偽者はネットで調べて答えを出してしまうだろうから、もっともらしいウソの質問をしてみよということなのだが、この答えは示唆に富んでいる。人間の本性はベーシックなコミュニケーション部分に現れるのであるからして、アナログ的な「頭の体操」によって、危険を回避するコミュニケーション能力を磨け、というのが本書のメッセージである。「少なくとも『頭の体操』の読者であれば、何事にも好奇心をもって挑戦してもらいたい」と多湖先生は言うのだが、クイズマニアへの愛にあふれた、このポジティブさがいいではないか。
「ホームページで知り合った人はいい人なのか、あなたをだまそうとしているのか? こうした局面で、私たちが楽しんできた『頭の体操』的な発想が生きてくる。そう、あなたも人間なら、ネットの向こうにいる謎の人物も同じ人間なのである」
本編のクイズは、インターネットとはほとんど関係のない、相変わらずの内容だ。マッチ棒あり、コインあり、言葉の問題あり、イラスト問題ありといった安心のラインナップ。素直に「やられたー」と思えたり、「これは、ちょっとズルイんじゃないの!?」と怒っちゃったり、「面倒くさくて、やってらんないぜ」と全く考えずにページをめくってしまったり。
―そう、これこそが「頭の体操」の醍醐味なのだ。年に1度のイベントといっていいくらいの。
私が気に入ったのは、暗号のような以下の文章を指して「これはなんだろう?」という、ごくシンプルな問題。意外とインターネット的な発想だと思うのだが・・・。
つかすいも
くきんどに
ちげ
2001-08-01
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